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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-27


「お願い。 少しは食べて。」

(千波はキッチンに戻り。 両手で口元を覆った。)

『・・あなたに後悔してほしくない。』

「前みたいに、笑って、聖・・。」

『夏樹はもう、決めたのよ。』

「大好きよ。」

「聖。」

***

パチパチッ・・ シュボッ チリチリッ シュワワワーッ

(小さな手から、こぼれる。 七色の火花に。 パチパチとはじける賑やかな音に。
蒲公英は、嬉しくて。 芝生の庭先から。
1階リビング前につづく、テラスにたたずむ。 夏樹と紫苑に振り返った。)

「お姉ちゃんっ/// みてっ! キレイ///」

「きゃぁっ!」

(良く見えるようにと、手持ち花火を高くかかげたので。 カラフルな
火花が舞い飛び。 蒲公英は歓声と悲鳴をあげ。 笑いながら、そばで見ていた桜が
その手をとり、一緒に花火をかかげた。)

「くすくすっ。 ほら、振り回したりしないの。」

「気をつけて、蒲公英ちゃん。」

(窓際の、テラスに腰を下ろしていた紫苑が。 様子を見て、微笑みながら。
そっと、やわらかなレースのスカートをゆらし。 可愛らしい外履きをはいて。



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