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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-28


立ち上がった。)

「うふふっ。 つぎ、どの花火がいい?」

(蒲公英は、カラフルな、いくつもの手持ち花火を順にゆびさしながら。
きらきら目を輝かせて。 本気で迷っていた。)

「///う〜んっ///」

「これっ!///」

「いいよ。」

(紫苑は、うなずき、1本そっと引き抜くと。 ちょっとかがんで、
一緒に。 火をつけた。)

「ふふっ。 ここ持って。 そ、あっ。 消えちゃった・・。」

(さらさらと流れる髪を、そっと片手で耳にかけ。 紫苑は手元の花火を見つめた。)

「あ・・っ、風。」

(紫苑は瞬き、そっと流れた夜風が。 吹き消してしまった、花火の先を。
見つめたあと。 蒲公英とそろって小首を傾げて。 テラスの窓辺に、立ってこちらを
見守っていた夏樹の方へ。 意味あり気に振り向いた。)

「あ〜っ///」

(蒲公英と紫苑が、非難がましくわざと夏樹の方を見たので。 目が合った夏樹は、
面白そうに、肩をゆらして笑った。)

「・・っ。 僕?」

「くっくっ。 何もしてないよ。」

(遠巻きに、立ち。 窓にもたれて、腕を組んだまま。 深い紺色の瞳が微笑み。



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