HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-31


テーブルの下に見えなくなった菖蒲を。 カウンターの向こうから覗き込んだ。)

「菖蒲。 スイカ切るときくらい。 燕尾服はやめたら?」

「くすっ。 白手袋は外しますよ。」

(菖蒲は、笑いながらキッチン用品を取り出し。 白手袋を外した。)

パチッ パサッ・・

「制服を脱ぐときは、夏樹様が。 FOTを終えられた時です。」

「考えていますか? 将来、どうするか。」

(黒ぶち眼鏡の奥の瞳は、微笑み。 夏樹を見た。)

「え?」

(夏樹は、瞬き。 見つめ返した。)

「考えて、いるんですよね?」

「私は、夏樹様の夢を。 知っていますからね。」

(菖蒲の言葉に、夏樹は。 深い、紺色の瞳を見開いた。)

「そのために、街へ来たんですよね。」

「半分は、もう。 叶っていますよね。」

『考えてください。』

『もう、すぐそこに。 あるのですから。』

(菖蒲は、深い紺色の瞳を。 強い視線で見つめた。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ