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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-34


「安全に。 僕の中に眠る“核”を取り出すことが出来れば。」

「きっと、それが、ソラの国に伝わる。 “鍵”だろう。」

「壊すべきものの在りかがわかっただけで。 僕は少し、ほっとした。」

(もしそれが自分なら、恐ろしい気持ちになるだろうと。 菖蒲は思った。
だが、夏樹は、心からほっとしているようだった。)

「切り札が、僕らの側にあるのだから。 敵より有利じゃないか。」

「僕は、守ることが出来るし。」

「もし、皆に害を与えずに、取りだす方法がわかったなら。」

「何も迷うことはない。」

(深い紺色の瞳は、きらきらと輝き。 何も恐れていないと、菖蒲にはわかった。)

「皆がいるからかな。 僕は、出来ると思う。」

(見つめる夏樹が、まるで。 夢を叶える覚悟を抱く様に。 前を見ていたので。)

(その強い決意に。 負けてしまいそうだった。)

(菖蒲は、黒縁眼鏡の奥で瞳を見開いた。)

「闇を無くしたからといって。 誰もが幸せになれるわけでは、

ありませんよ。」

「そのかわりに、あなたが居ないというのなら。 そのせいで、

誰かの人生が変わるかもしれないことを。 忘れないでください。」



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