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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-4


「なぜっ、そう言い切れるのですっ?」

(灰色の髪の奥で、黒い瞳がニヤリと揺れた。)

「・・もたん。 彩の見立てでは、それだけの衝撃に。 こいつは

もたんらしい。」

「“リュウジュ”の心臓は、こいつを健気に生かしている。」

「“核”は意思を持ち。 この子供を生かし。 闇化の負荷がかからぬようにしている。」

(筋ばんだ手が、ワイングラスを揺らした。)

「我々が恐れ、心配しているのは、能力者の命ではない・・っ。」

「これほどの大きさの“欠片”が闇化すれば、どれほど甚大な被害か・・。」

「最初の闇が起こったあの時も・・、都市が一つ消え去った・・。」

「守るべきその国民が・・、危険にさらされる。 そして、我々の存続も・・。」

(もう一人の大臣が、息巻いた。)

「そうだっ。 あの時、“リュウジュ”を失い、我々先代のProjectは破たんした。」

「たしか、生命科学研究所の先がけ。 “リュウジュ”と共に集めた、能力を持つ

子供たちと、開発研究所。 都市とともに闇に飲まれ・・。」

「その事実の隠ぺいには・・能力者の力を借りるしかなかった・・!」

(大臣は頷いた。)

「葵という能力者も、FOTの中だ・・っ。 おかげで聖などという、危険な男に



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