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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-5


借りを作るとは・・。」

「あの男がいる限り、我々が主導権を握れることはない・・。」

「生命科学研究所も、今やあの男の物。」

「ここで大規模な闇化を起こしてみろ。 やつは全てを国のせいにし、“核”を手にし、

一人勝ちではないかっ?」

(だが、首相は、ほくそ笑み。 グラスを片手に、立ち上がった。)

「案ずるな・・。」

「国民が、危険にさらされることはない。」

「あの子供の“闇化”は、われわれが、意図的に引き起こすのだ。」

(その言葉に、テーブルにつく大臣たちが、皆。 首相を見た。)

「・・なんですと?」

(席を立ち、首相は。 まるで、時の欠片と見まがうほどの、宝石を散りばめた、
窓ガラスの向こう、眼下に広がる。 摩天楼の夜景を、眩いものを見る様に、
目を細めて見た。)

「能力者の力を閉ざす。 地下深くの。 特別な場所でな。」

「極秘裏に建設している・・。 費用はいくらかかってもかまわん。」

「聖もそれに同意している。」

(大臣たちは、息を飲み。 瞬いた。)

「まさか・・!」



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