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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-42


「じきに、奴から欠片を奪い。 その力で病を治し。 お前を、ここから。

救いだしてやる。」

「お前をこんな姿にし。 苦しめた能力者は、私がとうに抹消したが。」

「なぜお前が救われず。 こんな目に合い続けねばならない・・っ。」

「お前が、私の娘だからだ。 青葉・・。」

(石垣は、眠っている少女の枕もとに。 静かに語りかけた。)

『かつて私の対立候補は、私を失脚させるために、この子を利用した。』

『退陣せねば、能力者を差し向けると、私を脅したが。 私は屈しなかったのだ。』

「・・許せよ。」

「この父が、必ず。 “核”を手にし、

この世から。 能力者どもを、抹消してくれる・・っ。」

(石垣は、かすかに震える。 骨ばった手を、泡雪のように儚く。 白く、小さい、
眠る少女の。 愛しい頬に伸ばし、触れた。)

「・・お父様・・。」

「青葉っ。」

(青葉は目を開き。 そっと、小さな冷たい手を。 父の手によせた。)

「わたしは、お父様の娘で。 しあわせよ。」

「・・だから。 ・・誰も。 恨んだりしないで。」



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