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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-43


***

トクンッ・・

トクンッ・・

(夏樹の胸の中で、輝く欠片が鼓動していた。)

***

「悲しみを、繰り返さないで。」

(青葉は、自分を通し、深い闇を見つめる。 父の瞳の奥を。 見つめ続けた。)

***

ザッ・・! ザババババーッ・・!

バシャッ・・ ビシャシャッ・・

(黒い飛沫を上げ、広い。 水面を波立たせ。 裸の身体が、黒い水を蓄えた、
プールの様なガラスの水辺から、床の上へ上がった。)

(男性の、引き締まった肩から黒い水滴が流れ。 その左の首元に、黒く、幾何学模様が
光っている。)

ピシャッ ピシャッ

(裸足の足は、黒い水跡を残し。 乱れる青い髪から、雫をガラスの床の上へ落とす。)

「・・・ふぅ・・。」

(冷やかに漏れる息に。 青い髪の下、濡れる赤い瞳は。 水を宿した様に、怪しく揺れ。
そばに置いてあった、深紫色のマントを手に取ると。
ガラスの床が、汚れるのも気にせず。 雫に濡れる身体の上から、マントを肩に掛けた。)



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