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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter96 『求めるもの』 96-44
「足りね〜・・。 なぁ。 足りね〜・・。」
(声に、部屋の片隅に。 たたずんでいた小さな黒猫の耳が動き。 黄色の瞳を開き、
目覚め。 頭を起こした。)
「もっと濃く・・。 ・・深い、魔力を・・なぁ・・。 もっと、大きな・・。」
「“闇”が必要だ・・。」
「これだけでは・・、リザは目覚めん・・。」
バサッ・・ ピシャッ ピシャッ
(紫のマントが翻る先。 黒い雫を残す足先が、向かう方へ。
その足元を。 小さな黒猫が、追いかけた。)
「ミュー」
「・・ニャー・・」
(ガラスの床の上を、わずかに足を滑らせながら、小さな黒猫は男性の立ち止まった。
素足の足元に、自身も止まり。 腰を下ろし、顔を上げ。 一声鳴いた。)
「・・リザ・・。」
コォォォッ・・
(赤い瞳が見上げる先は、まるで。 ガラスの神殿のようだった。
ガラスで出来た柱が連なり。 かつて聖から逃れた際、砕けたその隠れ家は。
ガラスの壁の一部。 倒れた柱がそのままに。
割れたガラスの天井は、一部ぽっかりと開き。 そこから、異空間に浮かぶ月が。
眩しく、その下に祭られた、祭壇のような寝台を、浮かび上がらせている。)
キラキラキラキラッ・・
(闇夜が照らし出すその場所は。 不思議と輝いていた。)
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