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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-47


「・・この世界は、生きるに値しない。」

(フェルゼンの、赤い瞳が。 憎しみを込めて、煌めいた。)

***

トクンッ・・

トクンッ・・

(夏樹は、胸の中が、不思議に鼓動するのを感じていた。)

キイッ カチャンッ

(誠司のところから戻った夏樹を、菖蒲は出迎えた。)

「お帰りなさい。 夏樹様。」

「誠司様は、何と?」

(帰って来た夏樹が、少し。 放心した様子だったので、
菖蒲は、瞬き。 夏樹の顔を覗いた。)

「・・・。」

(夏樹は、たちまち。 白い両腕で、自身の顔を隠した。)

「・・っ。 家族だからって。」

「え?」

(菖蒲は、夏樹が。 何かショックを受けたのかと思ったが、
どうやら違う様だった。 白い両腕の向こうに、隠れて。 良く聞き取れないが。
夏樹は嬉しくて。 照れくさくて、顔を隠している様だった。)

「夏樹様・・。」



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