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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-6


「奴も“核”が欲しいらしい。」

「“不死”の欲望には勝てん。」

(巨大な窓ガラスの前に立ち、首相はワインを飲みほした。)

「・・(ごくっ)。 ただし、能力者を遮断する場所だ。」

「闇化し、あの子供が息絶えたあと。 能力者が“核”を拾いにいくことは、

出来んだろうが?」

「“時の欠片”を手にするのは、我々。 善良な人間よ。」

「“Fragment of Time Project” すべての人類に、“永久”をもたらせ・・。」

(首相は再び、テーブルの上の。 狙うべき物の画像を見た。)

「乾杯・・!」

「あははははっ!」

(笑い声は、絢爛豪華なシャンデリアに照らされる室内に響き。 大臣たちの背筋を
凍らせた。 Projectは間違いなく、栄光に満ちていた。 だがそれは、
大規模な災害にも勝る危険と共に、聖から奪い取らねばならないことに、
臆さずにはいられなかった。)

トクンッ トクンッ・・

(思惑のうずまく、その場にありながら。 大臣たちの視線の先で。
その画像は、不思議な光を放っていた。)

(けして、手を出してはいけない。 尊い物に、醜い欲望をあぶり出される様で。
大臣たちは、直視できなかった。)



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