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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-50


「どこ行きたいかな〜?って思って。 調べてたの。」

パララッ

(佐織は、地元の観光地を記した雑誌を見ていた。)

「だって、都会のが。 何でもあるし、美味しいものもあるでしょ?」

(佐織の視線は、真剣に。 まだ紙面の上に注がれ。 駆の顔を見てもいなかった。
だが、駆は。 上の空で、じっと、間近で佐織を見つめ。 嬉しそうに
日に焼けた頬をほころばせ笑った。)

「何でも、良いんじゃね〜。 行けばどこでも面白え〜よ。」

バシッ

「・・真面目に考えなさいよっ。」

「! 何その格好・・? ジャージ? 汗くさいわね。」

(佐織は、持っていた雑誌で、駆をはたき。
駆の反応とうらはらに、冷めた目で。 走ったあとで、汗をかいているらしい駆の。
頭の先から、スニーカーの足先まで見下ろした。)

「おまえっ。 俺は、ランニング中だってのに。 お前が、今すぐ荷物まとめて来いって

言ったんだろうが。」

「明日の朝早くにって、思ったけど。 あの子に一人で待たせたくないから。」

「ソラくんたちは、今夜来るって言うし。」

(佐織の心配をよそに、駆は。 なぜか、嬉しそうだった。)

「佐織〜。 夜食にしちゃ、買いすぎじゃね〜? だから、でっかくなるんだって・・。」



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