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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-51


「うるさいわねっ/// 皆の分に決まってるでしょ。」

(佐織は言いながら。 雑誌を閉じ、お財布を広げた。 手にはすでに、
夏樹を待つ間。 皆で食べようと、買った。 お菓子や飲み物が詰まったビニール袋を
下げていた。)

「あはっ。 持つよ。」

ピポンッ ピポーンッ

「あっ、ちょっと駆、待って。 これ買うからっ。」

「も〜。」

(佐織は、慌てて。 レジを済ませ、コンビニを出た駆を追いかけた。)

トッ トッ

(夜の桜ヶ丘の坂道は、人通りも少なく。 通りに点々と灯る、外灯も仄かで。
夜の闇の中を、ぼんやりとオレンジ色の明かりが灯り。 時折通る、車のライトが
二人を照らし出したが。 静かな。 暗やみの中に、辺りは包まれていた。)

「何もこんな夜に家に帰らなくてもな。」

「・・事情があるのよ、きっと。」

(駆は、穏やかな表情で。 佐織を見た。 佐織は、長い髪を、無造作に軽くまとめあげ。
普段、見たことのない。 ラフは服装をしていた。 風呂上がりのようで、
シャンプーの香りがした。 メイクもせず、くつろいだ様子だったが、どこか不安な
様子で。 紫苑を案じているのが分る。)

「・・何でもね〜って。 ソラも付いてく。」

「うん。」



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