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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-57


『・・見つけてしまうから・・。』

(紫苑は、目を細め。 うつむいた。 それでも、目の前に立つ、
夏樹の気配は。 眩いほどで、闇夜の中に。 その白い肌から、まるで
発せられる様な、不思議な輝きは。 夜空の下でも隠し通すことが出来ず。)

(見つけるのは、時間の問題に思えて。 紫苑を、恐ろしさが包んだ。)

「明日の、行先を。 まだ決めてないでしょ? 相談して待ってるから。」

「早く帰って来なさいよ。」

(佐織は、紫苑の隣で。 その肩をにぎったまま、夏樹を見送った。)

トッ・・

「夏樹様。 皆さま、そろそろ参りましょう。 今ならば、邪魔が入らず。

お会いすることが、出来ます。」

(静乃からのデータと、空間の動きを見ながら、タイミングを計っていた菖蒲が。
顔を上げた。)

「行こう。」

(夏樹がうなずき。 ソラたちと共に、snow dropに背を向けた。)

タッ

「・・夏樹くんっ。」

(紫苑は、夏樹のそばに駆け寄った。)

「・・っ、紫苑・・。」

(佐織は、思わず、引き止めたが。 紫苑は、佐織の顔を振り返り、微かに微笑み、



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