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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-58


うなずいた。)

「・・うん。 大丈夫。」

「夏樹くん。 これ・・///」

(紫苑は、スカートのポケットから。 小さな、丸い。 ふわふわとしたものを
取り出し。 大切そうに、両手にのせると。
夏樹の前に、差しだした。)

「このひよこちゃん。 もしも会えたら。」

「青葉ちゃんに渡して・・。」

「きっと、夏樹くんに会えなくて。 寂しいと思うから・・。」

「それに、もし何かあったら・・。」

「きっと、助けになるからっ。」

(紫苑の両手の中には、小さな。 丸くなって眠る、青い羽根のひよこが。
ふわふわと、温かそうに。 羽毛にくるまっていた。)

「・・ああ。 わかった。」

(夏樹は微笑み、受け取った。)

「うん。」

(紫苑は、時の欠片を必要とする、青葉を案じていた。 恐ろしい気配は、
青葉の側にもあり。 それを操る人物は、青葉にも出会っていた。 自分を悩ませている
恐ろしい気配が。 青葉を再び、襲いはしないだろうか。)

「ぴよちゃん。 またね、がんばってね。」

(紫苑はそっと、青い羽根を指先で撫でた。)



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