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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-59


「ピヨッ」

(ぴよは目を覚まし、一声鳴いた。)

「行くぞ。 夏樹、来い来いっ!」

(ソラは、大きく夏樹を手招きした。 ピュアが、snow drop前の路上に
描き出した、魔法陣は。 早くも眩い光を放ち。
少しずつ、その文字を、コンクリートの上に描き出し。 丸く、クリーム色に
輝きながら。 路面から湧き上がる光で、ソラとミイ、菖蒲、ピュアを包んだ。)

「あ。 今行く。」

ゴォォォーッ・・!

(光は、渦巻き、天高く。 光の柱を生み出した。 夏樹は、温かく小さく鼓動する
ひよこを。 ポケットに入れ。 光の中へ足を踏み入れた。)

ゴワッ・・!

(光は、夏樹の上着を巻き上げ、深い紺色の髪をなびかせた。)

「行ってきます。」

(光の壁の中に、入りながら。 異空間へ移動する瞬間、夏樹は、
snow dropに振り返った。)

「行ってらっしゃい。」

(紫苑は見送り、手を振ったが。 あっという間に、光は消え。
桜ヶ丘の通りは。 再び、何事もなかったかの様に。 静かな闇に包まれた。)

シュンッ・・

(それはあまりに一瞬で。 振った手を、下ろす前に。 振り返ったと思った一瞬の内に。
夏樹の姿は、目の前から消えてしまった。)



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