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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-61


ドクンッ・・!

(重い重力が。 自分に圧し掛かるのを感じた。 それは、紛れも無く、
聖のものだ。)

『これは、僕は、歓迎されていないな・・。』

(夏樹は、胸元をつかみ。 重苦しい圧力に、息を詰まらせながら。 もがき呼吸した。)

「・・ふぅっ。」

『あのひねくれ者。』

「会わせてくれよ。」

(深い紺色の瞳は。 挑戦的に、きらきらと煌めきながら。 強く、ソラが導く先を
見つめた。)

『「行ってらっしゃい。」』

(見送った紫苑の姿が、夏樹の目に残っていた。 振り返ったとき、視界に残った。
snow dropの景色は。 夏樹に帰る場所を、示していた。)

***

「ふぅ〜・・。」

「す〜・・。 沁みるね〜・・。」

(白い煙草の煙が、夜空に溶けて行った。 美味そうに目を細める、黄色い瞳の向こうに。
大都市の摩天楼が広がっている。 特別に国に管理された、その病院は。
並ぶ高層ビル群に劣らず。 星空に届くほどの巨大な建物で。 目の前に、東京タワーが
そびえている。)

「ふぅっ。 (ゲホッ・・ゲホッ・・) ・・っ。」



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