HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter96 『求めるもの』 96-63
(夏樹は微かに微笑み。 目を細めた。)
「狐次郎。 お前は強運だ。 葵さんの力に隠されている限り、
誰も、敵はお前を見つけられないよ。」
「・・。 ふぅ〜。 んな都合の良い能力があんならよー。 おめーが、
かけてもらえや。」
「俺の身は。 案じる奴は誰もいね〜。 いつ死んだところで大差ねー。 まーよ。」
「ヤベー奴らで。 恨まれる覚えのある奴らがよ。 一人二人は俺を探しに
来るだろうさ〜。 ひっひっ。」
(狐次郎は、再び煙草を吸い。 夜風にはためく、上着の下で。 病衣からのぞく、
包帯の胸元は、痛々しげで。 傷をかばう様に、背を丸める様子に。
夏樹は、ため息をついた。)
「僕が、来てるんだけど?」
(夏樹は、わざと冷めた目をして。 白い両腕を組み、冷やりとした気配を漂わせ。
狐次郎を見た。)
「おめーは、ヤベー奴らに入るさ〜。」
「くすくすっ。 いいよ、ここへ来るついでに。
心配で寄っただけだから。」
「それに、僕は。 今のままで良い。」
「表の世界で生きていけるか。 狐次郎に言われた通り。
僕は見せないといけないから。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』