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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-64


「礼を言いたかったんだ。」

「“粒樹”のことを、教えてくれてありがとう。」

「異世界の友人も。 “粒樹”のことは知らなかった。」

「謎はまだ解けない・・。 でも、僕がここにいるのは、

“粒樹”のおかげだ。」

「お前の言う通り。 生き地獄かもしれないが。」

「僕は、向き合ってみようと思う。」

(狐次郎は、狐のように黄色い目をニヤリと光らせ。 満足そうに笑った。)

「ひっひっ。 好きにしろや。」

(狐次郎は、再び、煙草をくわえ。 夏樹から視線を外すと。 目の前に広がる、
巨大な。 ビル群の、眩い夜景に見入り。 煙を吐いた。)

「おめー一人で。 世界は変わらねーさ。

この薄汚れた地上に。 “闇”ははびこり。 地面の奥底にまで、浸透していやがる・・。」

「おめーが、犠牲になったところで。 本当の闇は、消えやしねーさ。」

「FOTなんか、捨ててよー。 楽に生きろや。」

(狐次郎の言葉に、深い紺色の瞳は。 満面の笑みで、微笑んだ。)

「僕は、捨てないよ。 狐次郎。」

「FOTが好きだから。 だから、

いつか、僕の手で終わらせる。」



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