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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-65


(狐次郎は、ため息をついた。)

「馬鹿野郎が・・。 んな甘えー考えがよー。」

「聖の兄ちゃんに通じっか? 能力者は所詮使い捨てさ。」

「時が来れば、お前から、“鍵”を奪う。」

(黄色い瞳は歪み。 白い煙の向こうに、目の前の夜景はくすぶり、かすんだ。)

「馬鹿野郎が・・。」

(狐次郎は、振り返らず。 かすむ夜景を見続けた。)

キイッ・・ パタンッ

(去って行く夏樹の気配を背中に感じ。 再び煙草の煙を吐いた。)

***

(佐織は、買って来た雑誌を膝の上に広げながら。
片手でお菓子をつまんだ。)

「紫苑。 どこ行きたい?」

「あ、この風見海浜公園。 ちょうどイベントやってるよ。」

「チェック、チェックね♪」

カランッ

(佐織は言いながら、小さなガラスのテーブルに乗る。 綺麗なガラスの器から、
キャンディーを拾い上げた。)

「紫苑・・。 雨宮くんに、気持ち伝えたの?」



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