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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter96 『求めるもの』 96-69
「紫苑ちゃん・・。 そんな大切なものを。」
「・・ありがとう///」
(青葉は、そっと片手でひよこを頬に寄せ。 微笑んだ。)
***
ジジッ・・
(夜も更け。 白亜の洋館は、闇夜に包まれていた。 四本柱の美しい、
正面玄関に、灯るランプの明かりが。 くすぶり、かすかに炎が揺れる。)
キイッ
カタンッ・・
トットッ
(千波の両手には、心を込めて作った、夜食が手つかずのまま。 小さな花柄の、
トレイに乗せられて。 2階から、仄暗い階段を下った。)
(赤絨毯の階段と、焦げ茶色の木製の手すり。 年代を感じる白壁も。
ランプに灯る、ゆがんだガラス窓も。 屋敷の全てが、どこか。
一段と、闇夜に沈む様で。 いつも温かく感じるその景色が、
千波の心に、重くのしかかった。)
「・・・。 ふぅ。」
(千波は自分を奮い立たせようと、息を飲んだ。)
『言いすぎたかしら・・。』
(不安な思いに包まれながら、キッチンへ向かい。 千波はまた、料理を、
冷蔵庫の中へ仕舞った。)
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