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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter96 『求めるもの』 96-71


現れ。 千波が、声を発するより早く。
氷の様に冷たい両腕が、千波を包み込み、抱きしめていた。)

『! 夏樹・・っ!///』

(あまりのことに、千波は声を出せず。 ただ、冷たい両腕が。
夏樹の身体が、自分を。 ぎゅっと、力強く抱きしめていることに、驚きながら。
その冷たさと感動に、身体を震わせた。)

「夏樹っ!/// 冷たい・・っv」

(あまりにぎゅっとつかんでいるので、千波からは、夏樹の顔が見えなかった。)

「くっくっくっ、久しぶりに聞いた。 千波ちゃんのその声。」

(夏樹は、言いながら、そっと顔をあげた。)

『夏樹・・。』

(間近に見る夏樹の顔は、以前にも増して。 蒼白で、透き通る肌は、氷の様に冷たく。
艶やかな深い紺色の髪の奥で、揺れる深い紺色の瞳が。 恐ろしいほど色濃く、
底知れぬ夜空の様に、深く。 輝き。 瞳から発せられる、その胸に眠る力は、
並々ならぬものであると、能力を持たない千波でさえも。 感じられ、目の前で瞬く。
紺色の瞳が。 現実のものであるか確かめる様に。)

(千波はそっと、その頬に触れた。)

「・・っ、心配してたんだから・・。」

「本部でもいろいろあって。」

「空間通路と回線を、遮断していた方が良いって。」

(夏樹は、千波の声に耳を傾けた。)

「うん。」



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