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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-106


「はい?」

ガッ

(春人は、菖蒲の腕を掴み、引き戻した。 燕尾服の裾が揺れ。
ふいをついた春人の力任せな行動に、驚き。 バランスを崩して、よろめき。
一つに縛った後ろ髪がなびいた。)

「わっ・・! すみませんっ、春人様っ・・。」

「私は、ここに・・。」

(菖蒲は、残りたそうだったが。 春人は振り返りもせずに、
空間通路から、菖蒲を引き離した。)

「邪魔だ。 二人きりにしてやれ。 んなとこに立ってるから。」

「水族館の係員か、ペンギンだと思われんだよ。」

「!/// それは、少々違うかと思われますが・・。」

(現実の水族館に戻ると。 春人は、菖蒲に振り向いた。)

「くっくっ。」

「叶うと良いな。」

(黒縁眼鏡の奥の瞳が、瞬き。 春人を見上げた。)

「このライトアップ。」

「願いが叶うと言われてるんだろ。」

「『青の世界』か。 綺麗じゃねーか。」



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