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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-109


風見市の夜景を切り取り。 二人の前を通り過ぎた。)

キラキラキラッ・・

「光の粒が、降っているみたいね・・。」

(風見市を映した、夜の街並みの中へ、降ってゆく“時の欠片”に、
紫苑の胸は高鳴った。)

「“欠片”たちが、残ってくれる。」

『君がいる・・、この街へ。』

「この街へ、来て良かった。」

(静かに微笑む夏樹を見て。 紫苑の中に、小さな思い出が甦った。)

「・・小さい頃ね。 パパとママと、3人でこの水族館へ来たの。」

「わたしが生まれる前に。 いつか一緒に来ようねって。

約束してたんだって。」

「だから、夏樹くんとここへ来たかった。 今では、蒲公英と4人でときどき来るの。」

(紫苑は、穏やかに微笑んだ。)

「また、いつか来よう。 夏樹くん。」

「今度は、このガラスの向こうで。 本当の水族館の中で、一緒に見たいね。」

(それは、精一杯の紫苑の気持ちだった。)

(紫苑は、夏樹を誘いだすように。 そっと、手を差し出した。)

「うん。」



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