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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-22


「ふぅ・・。 ぜんぜん。」

「意識して、抑えようと思ってるんだけど。」

「上手く出来ない。 まるで、風の方から。

僕を誘いに来るみたいだ・・。」

(ソラは、眉根を寄せ、考える表情をし。 肩をすくめた。)

「桜ヶ丘だった・・。」

「え?」

(うつむき、深い紺色の瞳が悲しげに揺れた。)

「新しい“闇”が起こったのは、桜ヶ丘だった。」

『風に触れず、戦いに出なければ、わずかだけど、“闇化”のペースは落ちる。』

「今、風見海岸通りに“闇化”が起こっているのも、

僕が来ているからだ。」

「思う様にいかないな・・。 自分のことなのに、」

「ここにいるからだって、わかっているのに。」

「じっとしていられない。 僕が起こしているのなら、なおさら。」

「僕の手で、なんとかしたい。」

『暑い海風は、走り出したい衝動のように。 僕を動かそうとしていた。』

(ソラは、笑った。)



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