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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-24


「ああ・・。」

(夏樹は、ソラの手を握り返し。 微笑んだ。)

(強く握られる手から伝わる、氷の様な冷たさは。 電流の様に、
激しいエネルギーを帯び、ソラの身体に伝わった。)

「おお!」

(ソラは、決意を込めて、うなずいた。)

***

シャーッ・・ キュッ キュッ

(手を洗い、冷たい水滴が流れた。 鏡を見ることができずに、
紫苑は。 流れ出て伝う水滴を見ながら、深く息をした。)

「はぁ・・。 はぁっ。」

「ん・・っ。」

(やわらかにカールした明るいベージュ色の髪が、うつむく紫苑の頬を覆い。
不思議な緊張感から、その頬は紅潮していた。)

「ぜったいに、伝えたりしないわ・・っ。」

(そう言って、紫苑は鏡を見た。 目の錯覚か、
鏡の向こうで、その小さな唇が、わずかに微笑んだ気がした。)

【・・うふふっ・・】

「はっ!///」

(紫苑が驚き顔を上げたとき、化粧室のドアが開く音がした。)



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