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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-26


『・・・っ。』

『伝えないなんて、むずかしいよ・・。』

(深い紺色の瞳が瞬き、優しげに微笑んだ。)

「どうかした?」

「これ、良かったら。 菖蒲が買って来てくれたから。」

(夏樹の手から、紫苑は。 ホットティーを受け取った。)

(わずかに触れた、夏樹の手は、温かいものを持っていたはずなのに、氷の様に
冷たかった。)

【自らと違う世界に住み、けして手を触れてはならぬ者を・・。】

【愛するは、罪じゃ・・。】

「/// ありがとうっ。」

「温かい紅茶・・?」

(紫苑と同じく。 水色の瞳が瞬き、のぞきこんだ。)

「このくそ暑いのにっ? 俺ら、ソフトクリーム食おうと思ってるけど、紫苑ちゃんは?」

「あっ/// わたしも・・。」

(不思議そうな顔をした紫苑の頬が、赤みをさしていたので。 菖蒲は安心した。)

「お嬢様。 お車の中で、夏樹様のお隣でしたので。 少々お冷えになったのかと、

思いまして。」



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