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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-30


「“闇化”も、“聖なる花”が散ることも・・。」

(水色の瞳は、強い決意に燃えた。)

ピコンッ・・ ピコンッ

『腕時計から聞こえる。 “闇化”を知らせる通知音は。
一際大きく、僕の耳に響いた。』

『止まってくれ・・。』

ドクンッ

(“闇化”とともに、強く鼓動する夏樹の心臓は。 不思議な痛みを伴い、
夏樹を圧迫した。)

『張り裂けるように流れ出る想いは、“鍵”にかけられた
“呪い”のせいなのか。 それとも、ここに、とどまりたいと願う。 僕自身の、
想いだろうか・・。』

ドクンッ

【・・その代償は、大きい・・。】

【・・自らの命か・・あるいは、愛する者の命か・・。】

トクンッ

『止まって・・。』

(紫苑は、目を閉じた。 館内に、そっと通り過ぎる海風が、
隣に立つ夏樹の。 白いシャツの襟元を静かに揺らす。)

チリリッ



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