HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-33


「くっくっ。 ガキ。 俺らが戦ってるのを知って、うずうずしてるの?」

「何のために、FOTの外へ出たんだよ。」

「この汚い“闇”にまみれた結界の。 外は、別世界だろう・・。」

「どんな風に見える?」

(光は、暗い頭上を見上げた。 割れた異空間の壁の破片が、ぱらぱらと剥がれ落ち、
足元に散らばる。 光は、汗を払うように、上着を脱ぎ捨てると。
割れた外灯の電球に鋭い視線を向けた。)

パキッ パリリッ・・ ピシャンッ・・ ポッ ポッ・・

ズズッ・・ ズルル・・ッ!

【ギャギャギャギャーッ】

【ゴォォォーッ!】

(割れた上部の異空間から、染み出るように、流れ出た黒く光る液体が。
次第に量を増し、どろどろと滴り、電球を伝い、地面に降りた。)

(昼を映したはずの、異空間、風見海岸通りは。 見渡す限り黒い“闇”に覆われ。
どこからが地面で、どこからが上空なのかもわからない程に、黒に染まっていた。)

「お前の中に眠る“闇の核”は、もっと深いのか?」

「国が言う様に、お前も“闇化”するのか・・。 こいつらにつき合うことはない。」

「ここは俺の持ち場だ。 お前は、そこで。 お前の役目を果たせばいい。 夏樹。」

(光は、左手をかざし、壊された外灯に向かい。 力を放った。
その手から爆発的に流れ出た光は、電球から、辺りの景色を消してしまうほど、
強烈な光を瞬時に放出させ、放射状に鋭く流れる光は。 矢のように“闇”を射抜く。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ