HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-38


(早る思いが、ソラをせき立てた。)

ゴォォーッ

***

***

ポチャンッ ポチャンッ・・

(小さな老婆の手が、ひとつまみ。 水鉢の中へ、薬草を放った。)

ポウッ

(それは回転しながら。 水の中で、オレンジ色に花開いた。)

「・・ミイか?」

「おや。 これは・・、これは。」

「ほっ、ほっ。」

(老婆は微笑みながら。 そっと小さな、身体を起こした。
鮮やかな手織りの衣をまとう、老婆はこの国の巫女だった。)

「皆の衆。 王の帰還じゃ。」

「おお・・っ! ソラ様ではないかっ!」

「ソラ様・・っ!」

(王宮の聖なる光の樹を取り囲み。 祈るように見守っていた群衆は、腰を上げ、
一斉に振り返った。)

「みんな・・!」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ