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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-46


(そっと、背中に手をかけながら、菖蒲は。 夏樹を支え、隅にある水族館内の
ソファーに誘導した。 館内の照明は暗く、賑わう人々も、水槽を楽しげに見ながら
通り過ぎ。 気づいた者は、いないようだった。 佐織たちは、イルカショーの順番に
並ぶため、外のプールに向かっていた。)

「夏樹くん・・っ!///」

(紫苑も、不安げな表情を浮かべ、菖蒲の後に続いた。)

「紫苑様も、こちらへ。 少し休みましょう。」

(出来るだけ、いつも通りに振る舞いながら。 菖蒲はそっと、紫苑に笑顔を向けた。)

「大丈夫ですよ。 ソラ様が、直に戻ります。」

(ソファーに腰を下ろした夏樹は、顔をあげられないようだった。 涼しい館内では
あったが。 首筋に、冷たい汗をかいていた。)

『私が、代わって差し上げたい・・。』

「大丈夫。 光様のもとへ、晃様が向かっています。」

(白手袋の手が、そっと、背中を撫でた。)

「・・・、あいつが・・。 光さんのそばにいる・・。」

「僕が・・行く。」

(夏樹は、うつむき、目を閉じたまま。 つぶやいた。)

『・・夏樹様・・。』

(菖蒲は、静かに。 夏樹の背を撫で続けた。)

ドクンッ・・ ドクンッ・・



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