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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-47


(黒い“闇”は、夏樹の胸を圧迫し、また、紫苑の心を苦しめた。)

『わたしが・・。 わたしが・・っ、

あの人に。 居場所を・・、伝えたんだわ・・っ。』

(紫苑はぎゅっと、目を閉じた。)

***

***

(ソラの言葉に、聞き入っていた女性は、口元を覆った。)

「・・! なんですって・・。」

(群衆一人ひとりの顔を見ながら、ソラは、言葉を続けた。)

「あいつは、いつもぎりぎりのところで戦ってる。」

「あ〜、あれだ。 そうだな。 “鍵”ごと、あいつを壊すか?」

「それが出来るのが、勇気か?」

(ソラの水色の瞳は。 頭上にそびえ、満開に咲き誇る花を見上げた。)

「俺の国には、そんな薄情なやつはいないって、思ってる。」

「こいつが、“光の樹”が、そう簡単に枯れると思うか?」

「女王サラが力を注いで。 魔導師セナが、守っているんだ。」

「俺もいる。 こいつが枯れると、見限るのは、まだ早い。」

「あきらめるな。 “闇の樹”の王は、異界の地で、“闇”と戦っている。」



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