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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-57


「・・! 何考えてんだ、お前な・・。」

(春人は、あきれて、ソラを制止しようと手を出した。)

「・・夏樹様・・。」

(菖蒲は、驚き瞬いた。 ソラの呼びかけに、夏樹は目を開けた。
深い紺色の瞳の奥が、不思議な力を秘め。 重く染み出すエネルギーが、
瞳の色さえ、変えていた。 揺らめき、幾重にも重なる紺色の色彩は、
鼓動とともに、強さを増し。 冷やりとした空気が、溢れ出る白い肌に、
浮かぶ汗が流れても。 その瞳は、笑った。)

「・・良かった。 早く来て・・。」

(夏樹は、立ちあがった。)

「待ってください。 夏樹様・・っ。」

(菖蒲は、白手袋の手で、思わず夏樹の腕を掴んだ。)

「・・菖蒲。」

(深い紺色の瞳が、柔らかに微笑んだので。 菖蒲は、掴んだ手に、力を込めた。)

『止めなければ・・。 行かせてはいけない。』

***

【・・君。 葵と一緒にいたよね・・。】

【彼女も、FOTなんだろう・・。 ・・なぁ。】

【・・僕のところへ、連れてきて・・。 お願いだよ・・リザと、

話したい気分なんだ・・。】

【こんなに暗い“闇”の中にいたら・・。】



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