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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-58


【道を、見失ってしまうから・・。】

『「フェルゼン・・。」』

【あの日と同じように、笑ってくれるだろう・・?】

【・・僕だけを、見てくれるだろう・・?】

【僕だけを、・・・、愛してくれるだろう・・っ?】

『「初めまして。 フェルゼン。」』

『「・・ルナ国からの大使。 そう、自然破壊がとても深刻な状況だと、聞いています。」』

『「自然の力は、偉大よ・・。 けれど、頼り過ぎてはいけない。」』

『「魔法は、力を引き出すもの。 互いに共存してゆくのよ。 王の力が注がれ、」』

『「樹は、命を生み出すの。 あなたに見せましょう。 きっと、助けになるわ。」』

『「きれいでしょう?」』

(善の遠い記憶の中に、その女性の姿は、ありありと甦っていた。)

【美しい彼女の・・、紫に煌めく長い髪・・。 漆黒のドレス・・。】

【黒く艶やかな唇・・。】

【あの・・、花びらの舞う下で。 彼女は、俺に・・。】

【・・俺に、微笑んだんだ・・。 なぁ? そうだろう・・?】

『「くすくすっ。 こっちへ、いらっしゃい。 ルイ。」』

『「私の、大切な。 王子。」』



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