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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter97 『共に。』 97-59
(善の黒い瞳の中に、ゆっくりと、スローモーションのように。
言葉を告げる。 女性の黒い唇が動いて見えた。)
『「彼はやがて、この国の王になるわ。」』
『「私は、彼と・・。 共に生きて行く・・。」』
『「果てることのない、エアリエル国の。 その先の、未来まで。」』
『「あなたの国を、救う事も出来るわ。 フェルゼン。 紹介するわ。」』
『「ルイ・・。」』
(呼びかけに。 一人の人物が、満開に花開く。 聖なる“闇の樹”の向こうから
姿を現した。 ピンク色の花びらが舞い散る中。 深い紺色の髪が鮮やかだ。)
【深い紺色の髪・・。 雪のように白い肌・・。 夜を・・映したように。】
【美しい瞳・・。】
【彼女は、あいつを・・。 この上ないものと、そう称賛した・・。】
【それなのに・・。 誰が忘れようか・・? なぁ・・。 異界の地で出会い・・。】
【たった一人・・、俺が、愛すと決めた女をあいつは・・っ、死に至らしめた。】
(記憶に甦るルイは、ゆっくりと。 フェルゼンに振り向いた。 艶やかに揺れる、
深い紺色の瞳は。 フェルゼンの心を知らず、人を惹き付ける不思議な魅力を持ち。
濁りない、輝く瞳で微笑んだ。)
【一瞬の幸せは・・、残酷だ・・。 なぁ? そうだろう・・。】
***
『「フェルゼン・・っ! 私は・・っ、どうしたらいいの・・っ?」』
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