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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-61


【あいつは・・、彼女を・・。 壊した・・。】

ゴオォォォォォーッ!

【リザ・・。 あれ程、魂を注ぎ込み、育てた森を・・、なぜ燃やした・・?】

『「死なせて・・。 フェルゼン・・。」』

【なぜ・・、俺に願った・・っ!】

(血のように、紅いフェルゼンの瞳が、涙に滲み。 紅い雫が頬を伝った。
それは、涙なのか。 血なのか、愛すべき国土を破壊し。 自らを傷つける、リザを
止めることに、フェルゼンは必死だった。)

(森は、炎に燃え、黒い灰と化し、リザの生み出す魔法が、街並みを壊し、降り注ぐ
瓦礫と炎が、地獄を思わせた。)

(リザが自らに突き立てた、魔法の刃を、フェルゼンはつかみ取ったが。 二人は、
炎の中。 どちらの物ともつかぬ、血にまみれていた。)

『「・・死なせて・・。」』

【《闇の力を秘めし鍵・・》】

【《解き放て》】

『「やめて・・っ!」』

【《永久の守り手》】

コワァァーッ!

(フェルゼンは、横たわるリザを押さえつけ。 かつてリザから教えられた、
闇の魔法を、自らとリザにかけた。 魔法は、小さな魔法陣を、フェルゼンの左の首筋に
焼き付かせ。 その命を、リザに注ぎ込ませた。)



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