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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-62


【う・・っ、うっ・・。 ・・っ。】

(魔法陣は、烙印のように、フェルゼンの皮膚に焼き付き。 小さな煙を上げた。)

【ああああ・・っ!】

(フェルゼンの命を受け、かろうじて、リザは、命を取り留めたが。
その瞳は、生気をなくし。 ガラス玉のように、見開かれ。 その手は、静かに、
地面に落ちた。)

『「初めまして。 フェルゼン。」』

『「樹は、命を生み出すの。 あなたに見せましょう。 きっと、助けになるわ。」』

『「きれいでしょう?」』

(地獄にも思える景色の中で、きらきらした思い出は、残酷に。 フェルゼンの心に
甦った。)

【そんなものは・・いらない・・。】

【国でさえ滅びるのだ・・。 一瞬の幸せなど・・、ほしくはない・・。】

【俺が、ほしいのは・・。】

【永遠だけだ・・。】

(リザの輝く笑顔と、血に染まる最後が、幾度も繰り返し、フェルゼンを蝕んだ。)

【リザ・・。 そこは、冷たいか・・?】

【俺が・・、迎えに行く・・。】

***

パキッ パリリッ・・



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