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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter97 『共に。』 97-63
(暗い闇の底で、小さな少年は、光を捕えていた。)
「あいつの・・匂いがする・・。」
「風が・・うざってぇ・・。 なぁ・・。」
ポッ・・ ポッ・・
(闇の滴かと思った、冷たい粒に、光は、顔を上げた。 至近距離で、少年の魔法が、
光の身体の自由を奪っていた。)
『涙・・?』
(光の頬に、少年から伝い落ちた、涙が一滴、こぼれた。)
「あんたの目、正気じゃない・・。 葵に会いたいの?」
「くっくっ。 ごめんだね。」
(光は、ゆがむ異空間の視界の中で。 涙にゆれる、紅い瞳が、揺らめいたのを、
見た気がした。)
『空間を操るのか・・? 丁度良い。 FOTの異空間から俺は切り離されたようだな・・。』
『聖にばれずに、“欠片”を夏樹たちに渡せる。 帰れればだけど。』
(少し考え、光は苦笑した。)
『ああ、おまけに葵も夏樹もここへは来ない。 晃の助けも。』
『とんだ奴を、呼び寄せたもんだな。 夏樹。』
「あいにく。 ここには、俺しかいないよ。」
コォォォーッ
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