HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter97 『共に。』 97-64
『風が・・呼んでる。』
「くすくすっ。」
「せっかく外へ出られたんだ。 見す見す、戻るな。」
【ゴワァァァァーッ!】
「能力者だからと、持って生まれた力を使わなくたって。 生きて行く術はある。」
***
[「光くん・・っ。」]
(静乃は、必死に、晃を光のもとへ、誘導しようとしていた。 しかし、
光のもとへは届かず。 葵も、追いかけることが出来なかった。)
「光・・っ!」
(葵は、風見市内の別の異空間から。 光の気配を探し、空を見上げた。)
ゴワァァァーッ キンッ・・ キンッキンキンッ・・
(だが、空間は閉ざされ。 ガラスのようにいくつも織りなす異空間の扉は、
透明に、七色に輝きながら。 光を、闇と共に、遠くへ連れさってゆく。)
「なんだ、この力は・・っ。」
「光を閉じ込めたまま、異空間ごと。 “欠片”を持ち去るつもりか?」
「まだ、絶えず、中で“闇化”は起こっている。 あの、あほうが・・っ。」
***
「いいか夏樹・・背負いこむことばかり、覚えるんじゃない。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』