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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-66


(深い、紺色の瞳が見つめても、菖蒲は、夏樹をつかんだまま腕を離さなかった。)

「戦いたいんだ・・。」

(菖蒲は首をふった。)

「いいえ。 今は、休まなければ。」

「ご自分の体調です。 お分かりでしょう。」

(菖蒲は、引かなかった。)

「それに、今日は、皆さまと、楽しい時をすごしに来たのですよ?」

「皆様を、おいて行くのですか?」

(夏樹は微笑んだ。)

「ソラが、来てくれる。」

「FOTの皆が戦っているんだ。」

(頑として、動かない主人に。 菖蒲は、怒りさえ覚えた。)

「後で・・、いくらでも戦うことは出来ます! 夏樹様っ。」

「今だよ。 菖蒲。」

「今だ・・。」

(目に見えない悪しき力が、夏樹の胸を圧迫しているのだと、菖蒲にも分かった。
しかし、強い視線で、深い紺色の瞳は、菖蒲を睨んだ。)

「夏樹様は、分かっていらっしゃらない・・っ。 どんなに皆様が、あなたを

思っているか・・っ。」



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