HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-69


「君ら国が造り上げた、あの特別な牢獄に。 夏樹を放りこんで、

“核”を取り出すか?」

「くっくっくっ。 僕に出来ないものを。 お前たちが出来るものか。」

「だが・・。 “闇化”させ、夏樹と粒樹の“核”を分離するというのは、

一理ある。 僕も、どうなるのか、見てみたいからね。」

(彩は、軽蔑するように、冷たい視線を聖に投げた。)

「ひどい人ね。 今の彼に、そんな真似をすれば、どうなるか。」

「この資料を見なくとも、あなたにもわかるはずでしょう。」

(赤いネイルの指先が、放りだした資料を指さした。 聖から、まるで自分を
ガードするように。
自然と力を込め、白衣の両腕を組んだ。 ピンク色にカールする、長い髪が。
鋭い視線を覆う。)

「くっくっくっ。 前にも言ったけど。 夏っちゃんは、そんなにやわじゃない。」

「僕が育てたんだよ。 彼は、戦ってくれる。」

「“闇化”するかどうかは・・、知らないけどね。」

(彩は、聖の考えが、そら恐ろしく、国が下した決断に。 自らも賛同するしか
道がないことを知りながらも。 聖と同じ様に、冷静でいられないことを、悔んだ。)

「あなたって人は・・。」

(彩は目を細め。 言葉を無くした。)

「いずれにしても。 理由がいるだろう?」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ