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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-71


(彩は、意外な言葉に、静かに耳を傾けた。)

「紫苑ちゃんだよ。」

「情報を流しているのは、彼女だ。」

「どういう訳だろうね。 僕には、関係ないけれど。」

(聖はまったく、意に介す様子も無く。 眩い銀髪をなびかせ、笑った。)

「さて・・。 僕は、賭けに勝てるだろうか・・?」

「そうだね。 理由が必要だろう・・。 僕の、もう一つの願いを

叶えるためには・・。」

(微笑む黄金色の瞳が、国家生命科学研究所、中枢の、閉鎖室の中で。
ガラス越しに映る、無数の“時の欠片”たちの輝きを、焼き付けるように瞬いた。)

トッ・・

『自由になっても、良い頃だろう・・?』

『まだ僕は・・、君を。 この向こうから、救いだせずにいる・・。』

『・・彼は、優しいから。 僕を傷つけるには、理由がいる。』

「誰も僕に挑んでくれないから。 僕は、彼を待っているんだよ。」

「誰も僕を・・、行かせてくれないから。」

(黄金色の瞳は、目を細め、笑った。)

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