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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-76


(夏樹は、共に見上げながら。 ソラが、上空に向かい、手をかざすのを見た。)

「セナ・・。 力をかしてくれ。」

(ソラは、上空に渦巻く、“闇”を見つめ、呪文を唱えた。)

「《光の力を秘めし鍵》よ・・。」

(水色の瞳は、力を込め、瞬いた。)

『わずかな希望の光にも似て・・。』

『僕は、“欠片”を探しつづけた。』

『“未来”があると、教えてくれるから・・。』

(夏樹は、静かに。 目を閉じた。)

***

***

『「なあに、あの子供。」』

『「薄気味が悪いわね・・。」』

『「父親が誰かも、わからないらしいわよ。」』

『「あの目の色・・っ、肌の色を見て・・。 おぞましい。」』

『「道理で・・、この間も。 変な連中が、尋ねて来ていたわ。」』

『「問題でも起こさないでほしいわね。 どこかへ行ってくれないかしら?」』

(閉じ込められた、記憶の奥底で。 氷の様に冷たい感情が、時折甦っては、
夏樹を苦しめた。)



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