HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-86


「もしもし。 青葉ちゃん? 紫苑です。」

[「紫苑ちゃん。」]

(電話の向こうの声は、元気そうだった。)

***

「夏樹くん、出かけた?」

(青葉は、車椅子で、病院の中庭に出ていた。)

「こんな良い天気で。 わたしも元気がでるのに。」

「夏樹くんの風が、届いた気がして・・。」

(紫苑は驚き、電話の向こうでうなずいた。)

[「・・うん。」]

(青葉は、足元の、青々とした芝生を見つめた。 小さな庭だったが、
風を感じられるその場所が、青葉は好きだった。)

「怖がらないで。」

「一歩踏み出すことを。」

「彼なら、受け入れてくれる。」

***

(紫苑は、息を飲んだ。)

[「後悔してほしくないの・・。」]



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ