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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter97 『共に。』 97-87


[「気持ちを・・、閉じ込めちゃだめ。」]

(電話の向こうの、青葉の言葉に、紫苑は。 救われる想いがした。)

「青葉ちゃん・・っ!///」

[「がんばって・・。」]

(励まそうと思い、ひよこの通信機を手渡したはずだったのに、
紫苑の方が、励まされた。)

「・・うん。」

(紫苑は、自身の瞳の奥に宿る。 不思議な、黒い影と、戦った。)

***

ゴゴッ・・ゴゴゴッ・・

(光のもとに舞い降りた夏樹の頭上に。 巨大に立ち昇る、“闇”が影を投げかけた。
いつの間にか、360度周囲を高い“闇”の壁に取り囲まれていた。)

「もうすぐ、晃さんと、葵さんが来る。 僕らが、異空間の扉を開いたから。」

「僕はもう、一人で戦うことはやめたんだ。」

(深い紺色の瞳は、微笑んでいた。)

ゴワッ・・!

(強い風を呼び起こした。 右手から流れ出た風は、夏樹の身体を包み。
“闇”を震わせた。)

【ガァァァァーッ!】

『夏樹を、不思議な力が守ってる・・。 雨? まるで、

“闇”の中に降る金の雨みたいだ・・。』



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