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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter97 『共に。』 97-89
(至近距離で、善は、夏樹を掴もうと、右手を差し伸ばした。
その爪先は、魔力を帯び。 鋭い、深紫色の長い爪が突き出していた。)
バキッ・・ バリリッ・・!
(だが、光の魔術が。 一寸先で、夏樹を守り、触れさせなかった。)
【・・教えてやろうか・・? なぁ。 幸福の次には、必ず不幸が訪れる・・。】
【幸せを願えば・・、奈落に突き落とされる・・。】
【だから、俺が・・、・・全て消してやるんだよ・・。】
【・・生きるのは・・。 苦しいだろう・・?】
【・・なぁ?】
(その姿は、見えなかったが。 冷やりとする気配が、夏樹の耳元に、話しかけた。)
(夏樹の胸に宿る、“闇の力”が、善を元の姿に。 透明なフェルゼンの姿に、
戻していた。)
ドクンッ・・ ドクンッ・・!
「・・っ、う・・。」
(まるで、フェルゼンの呼びかけに応えるように。 夏樹の心臓は痛んだ。)
(けれど、夏樹は。 見えないフェルゼンの手を掴むと。 自らに引き寄せた。)
ガッ
「お前は。」
「臆病なだけだ。」
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