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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter98 『境界』 98-10
「戦いを・・。 挑まねばならないね・・。」
(視線を上げた、金の瞳は。 迷いなく、前を見た。)
『「聖。 僕は、僕のやり方で。 “闇”と向き合い。 正しいと思うことに。
欠片を使う。」』
(脳裏に甦る、深い紺色の瞳の、強い視線は。 聖の、心の奥を射抜いた。)
「夏樹・・。」
「“欠片”は、僕のものだ。」
(湧き上がる感情は、夏樹への愛情にも似て。 思うようにならない心は、
愛情と同じだけ、怒りと憎しみを滲ませた。)
【“欠片”を取り戻しても・・。 わたしを・・、取り戻すことは・・、できないの・・。】
「は・・っ。」
(黄金色の瞳は、見開き。 瞬時に表情を変えた。 怒りは、聖の内部を蝕み、
流れ出ようとする感情は。 聖の力の、均衡さえも、脅かした。)
ゴウンッ・・
(感情に乗り、溢れ出る力を、聖は飲み込んだ。)
「・・う・・っ、・・うっ・・。」
『こんな、気持ちに・・、なるとは・・。』
『思わなかった・・。』
「・・・。 くっくっくっ・・。」
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