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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-100


「粉々になりたくなけりゃ。 お家へ帰りな。」

(剛は、言いながら。 まだ追いかけようとしている間近な執事を
見つめると、大きな手で、肩をつかみ。 瞬時に身体の自由を奪い、
凍りつく表情を浮かべる執事に、にやりと満面の笑みで笑いかけた。)

「・・っ! No.9 Ability to Power」

(恐怖に見開く瞳に、剛は笑った。)

「よくご存じだ。 相手が悪いぜ。」

ボキ・・ッ! ボキキッ・・!

「ぎゃぁあ・・っ・・!」

(剛の岩のような手の中で、骨の砕ける音が、響いた。 放り投げられた執事は、
床に倒れる仲間と重なり。 黒いサングラスは、床に砕けた。)

「・・っ!」

(静乃は恐ろしさに目を閉じた。 空間通路を駆け抜ける。 菖蒲の髪先に、
追跡者の手は、届きそうなほどだった。)

「・・もう少しです。」

(菖蒲は、静乃を元気づけた。)

***

【・・確かに・・。 この程度の力で・・、通用しない。】

(黒い小さな影が。 二人を見ていた。)

(開いた少年の瞳は。 赤く、残像の様に揺れた。)



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