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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter98 『境界』 98-99


「・・追って。」

(クリーム色の光が包み込む中。 菖蒲は、彩のピンク色のソバージュの髪が、
研究所の奥、扉の向こうに消えるのを見た。)

『夏樹様だけでなく、彩様のことも・・。』

『国や、聖様は、利用したに違いない。』

(だが今は、彩を止めることはできなかった。 菖蒲は両腕で、静乃を強く支えた。)

ガッ・・!

「・・逃がすな・・っ! 追え・・っ!」

ゴワッ・・

ドン・・ッ!

(二人に手を伸ばした、黒服の執事たちは。 その黒手袋の指先が、触れるかと
思われたところで。 途端に、強烈な一撃を浴び、異空間の扉から研究所の床の上へ、
爆音と共に、弾き飛ばされた。)

バキッ・・ バリリッ・・!

「ぐわっ・・!」

「・・ぐっ・・」

(クリーム色の扉から現れたのは、剛だった。 強いエネルギーは、目に見える程で。
大きな、皮手袋をはめた岩のようなの手や。 盛り上がる筋肉の強い腕や全身から、
煙が上がるほどの、熱を持って。 豪快に、屈強な執事たちを床に叩きつけていた。)

「おっと。 悪いな。 加減しね〜で。」



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