HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter98 『境界』 98-117
「・・いるよ。」
「・・うん。」
『わたしも、負けないから・・。』
***
(不安な想いと戦う紫苑の中に、粒樹の声が響いた。)
『【わたしが“闇”に染まる前に・・。】』
『【あなたに触れたかった・・・。】』
(紫苑は、自分を見失わぬよう。 冷たい夏樹の手を、強く握りしめた。
氷のような冷たさが、紫苑を現実につなぎ止めてくれる気がした。)
(二人だけの一時。 二人は、寄り添い目を閉じた。)
(夏樹は静かに微笑み、小さく震える紫苑の髪に触れた。)
『【そうすれば、
何が起こっても怖くないから。】』
『境界』
Chapter98 End
Fragment of Time・・・時の欠片の道しるべ
『 Chapter99へ 』 『 前ページへ 』